
本ページは、既存設備の信号をそのままクラウド化し、遠隔監視を短期・低コストで実現する方法をまとめた解説ページです。
目次
工場やインフラ設備の現場において、データの収集や遠隔監視へのニーズが高まっています。 しかし、いざ導入を検討すると、以下のような壁にぶつかるケースが少なくありません。
コストと工期: 設備の入れ替えに、膨大な費用と時間が必要
現場への負担: 長年安定稼働している設備を止めたくない
改修リスク: システム変更に伴う、予期せぬトラブルが怖い
こうした「今の設備のまま、遠隔監視だけを追加したい」という切実な課題を解決するのが、既存設備からの信号をそのまま取り込める「IoT通信ユニット」です。(IoTユニット、IoT無線ユニットなど、さまざまな呼び方があります)
無電圧接点の信号やアナログ出力、RS-485通信といった、現場で一般的に使われるインターフェイスを使って、設備本体の動作に影響を与えることなくクラウド化を実現します。

本記事では、導入を検討されている方が「自社の設備にも使えるのか」が判断できるよう、接続方法や通信方式などのポイントを紹介します。
IoT通信ユニットは、工場設備で一般的に使われる信号を幅広くカバーしています。特別な改造を行わず、今ある信号をそのままクラウドへ橋渡しできるのが最大の特徴です。新旧・メーカーを問わず、さまざまな機器をIoT化することができます。
装置からの取り込んだ信号は、Sub-GHz帯(920MHz帯)通信とLTE回線を使ってクラウドへ送信。工場の社内ネットワーク(LAN)への接続は一切なしに、後付けで手軽に現場のデジタル化をスタートできます。
このシステムは、IoT通信ユニット・ゲートウェイ・クラウド・アプリで構成されています。

制御盤、各種センサー(温度・圧力等)など、IoT化したい機器に直接接続します。
無電圧接点入出力、アナログ入力、RS-485通信のインターフェイスを標準搭載し、1台で多様なデータの同時収集が可能です。
IoT通信ユニットが機器から受け取ったデータは、無線でゲートウェイへ転送されます。障害物に強く長距離通信が可能な920MHz帯(Wi-SUN)の電波を利用することで、大規模な配線工事を不要にし、工場内の広い範囲を効率よくカバーします。
データは、ゲートウェイからLTE-M回線を通じてクラウドへ送信。関係者はスマホやPCを使って、クラウドに蓄積されたデータの確認や取得をおこないます。異常発生時に通知を受け取ったり、日々のデータをグラフ化することで遠隔から状況を見える化。場所を選ばず、いつでも現場の状態を把握できるようになります。
無電圧接点入力(ドライ接点)は工場で多く使われている信号方式です。設備の異常信号や状態変化をクラウドに送信できるため、「まずは異常通知から始めたい」という現場に最適です。

→ 無電圧接点入力を使った異常通知(詳細)
→現場の課題を相談してみる(お問い合わせへ)
装置の制御盤から出ている「警報信号」を当社のIoT通信ユニットに接続。現場で警報が鳴ると、離れた場所にいる担当者のスマホ通知やメールでおしらせします。
警報信号をログとして残すことで、稼働状況の把握が可能となります。「いつ、どのくらい止まっていたか」は、改善のための貴重な根拠となります。
「信号灯や回転灯が点灯したとき、同時に遠隔へも通知したい」 そんなときには、信号灯の信号線を活用した接続も可能です。大掛かりな配線工事や機器内部の改造を必要とせず、最小限の手間でIoT化を実現できます。

すでに導入済みの信号灯の配線に「接点分配ユニット」を追加し、既存とIoT通信ユニット用に絶縁して分配します。これにより、機器本体には手を加えずデータを取り出すことができます。(詳細についてはご相談ください。)
これまで信号灯が光って知らせるだけだった警報を、IoT通信ユニットを追加することで離れた場所に知らせたり、24時間の稼働ログとして残したりすることができるようになります。
IoT通信ユニットはセンサーデータを入力して「数値の可視化」をおこなうこともできます。
レベル計・圧力計・流量計など、プロセス系の計測器で広く採用されている4–20mA出力の標準信号に対応。計測値をクラウドに送信し、24時間の推移をグラフで確認できます。
タンク残量や配管圧力をスマホやPCで確認できるようにすることで、高所や危険な場所への巡回点検を大幅に削減します。

→ レベル計と連携した液量監視(詳細)
→現場の課題を相談してみる(お問い合わせへ)
温調器や電力計など、制御機器の多くが採用する通信方式です。
Modbus対応機器であればメーカーを問わず接続でき、出力データをそのままクラウドに送信できます。
既存の制御処理を変えずにIoT化できるため、「制御はそのまま、データだけ取りたい」 という現場に向いています。

→温調器の遠隔監視・設定変更(詳細)
→電力計と連携した電力監視(詳細)
→現場の課題を相談してみる(お問い合わせへ)
流量計や電力量計の積算パルスを取り込み、使用量や生産数をクラウドで管理。
DIPスイッチで接点入力と切り替えられるため、環境に応じて柔軟に活用できます。
クラウド側から回転灯やブザーを制御でき、異常検知時に遠隔地の設備へアクションを返すことが可能。監視だけでなく、現場へのフィードバック まで含めた運用ができます。

→ 無電圧接点出力を使った制御(詳細)
→現場の課題を相談してみる(お問い合わせへ)
例えば「地下のポンプ室で異常を検知した際、1階の事務所に設置した回転灯を点灯させる」といった連携が可能です。画面上の通知だけでなく、音や光で確実に周囲へ知らせることができます。
現場に行かなくても、PCやスマホからの操作で、接点出力につないだ機器の再起動やブザー停止などを行うことができます。

| インターフェイス | ポート数 | 接続対象(例) | 解決できる課題(ニーズ) |
|---|---|---|---|
| 無電圧接点入力 | 5(※1) | 警報接点 | 異常の即時通知、稼働状況のログ収集(日報作成の自動化・チョコ停の見える化) |
| アナログ入力 (4-20mA) | 1(※2) | 液量計、流量計、濁度計 | タンク残量や配管圧力の数値監視(残量不足によるライン停止の防止) |
| RS-485 (Modbus) | 1 | 温調器、電力計 | 各種計測値の自動収集、設定値の遠隔確認(事務所から遠隔設定・品質管理の厳格化) |
| パルス入力 | 1(※3) | 流量計 | 累計使用量の把握、生産数のカウント |
| 無電圧接点出力 | 2 | 回転灯、ブザー | 異常時の報知連携や、外部機器の遠隔操作 |
※1 a接点/b接点の切替が可能
※2 4-20mAx4ポートモデルもあります
※3 無電圧接点入力ポート5と排他利用
現場のIoT化を検討する上で、すべてをPLCに集約する必要はありません。安定稼働しているPLCの制御系とは別に、情報をクラウドに送るための専用ルートを設けるほうが、安全で効率的な場合があります。
IoT通信ユニットは、機器から出力される信号を直接受け取り、PLCを介さずにクラウドへデータを伝送する手段を提供します。

機器側の出力接点(無電圧)とIoT通信ユニットを直接接続します。PLCの入力ポートを増やしたり、内部のデータ処理を経由させたりすることなく、必要な信号だけをピンポイントで取り出せます。
運用例: 装置から出力される「稼働・停止・異常」などの接点信号を、そのままスマホへの通知や稼働ログに変換します。
センサーや計測器からのデータを、RS-485から直接収集します。PLCの処理を介さず、機器が持つ詳細なデータ(カウンター値、温度、圧力など)を取得。スマホやPC(IoT通信ユニット側)から設定値の変更といった遠隔制御を行うことも可能です。
運用例: 複数の計測値をグラフ化して分析したり、異常時に遠隔から装置のパラメータを調整したりといった運用を実現します。
稼働中の安定したシステムに新しい通信処理を書き加えるのは、予期せぬトラブルのリスクを伴います。本ユニットはPLCとは物理的に独立した系として動作するため、既存の制御ロジックに一切影響をおよぼすことなく、後付けで監視機能を付与できます。
通信にはSub-GHz帯の無線通信とLTE-M回線(キャリア回線)を利用するため、工場のLANに接続する必要はありません。社内ネットワーク設定や情報システム部門との調整などの負担を、最小限に抑えます。専用ゲートウェイを介して、現場主導でスピーディーに導入が進められます。
PLC機能拡張用の通信ユニットや入力ユニットを買い足す必要はありません。本ユニット1台で、無電圧接点の入出力、RS-485(Modbus)、4-20mA(アナログ入力)、さらにはパルス入力まで、現場で必要な主要信号を網羅しています。さまざまな機器の信号をこれ1台に集約できるため、シンプルかつ低コストでIoT系統を一本化できます。
IoT通信ユニットとゲートウェイ間は920MHz帯のため、Wi-FiやBluetoothとの干渉が少なく、回り込み特性に優れていて遠くまで飛びやすい特徴があります。通信距離は見通し最大500m、中継器使用で1000mです。また、社内ネットワークに依存せず通信設備の工事も不要なため、IT部門の負担が少なくてすみます。
クラウドとの通信は、ドコモまたはソフトバンクのキャリア回線(LTE-M)を使用します。ゲートウェイは、これらの電波が安定して入るところに設置します。ゲートウェイには、複数のIoT通信ユニット(最大12台)が接続できます。
なお、回線の通信費とクラウド利用料はライセンス費に含まれています。ライセンス費はゲートウェイ1台あたり15,000円(税別)固定で、IoT通信ユニットが増えても予算管理がしやすいのが特徴です。
2026年には新たな「IoT通信ユニット」ラインナップの展開を予定しています。
高精度なデジタル計装機器に対応。既存のアナログ資産を活かしつつ、より詳細なデバイス情報の取得が可能になります。

ゲートウェイを介さず直接通信可能なモデルや、社内Wi-Fiを活用できるモデルなど、通信環境に合わせた選択肢がさらに広がります。

IoT通信ユニットは、「設備更新は難しいが、遠隔で状況を把握したい」という現場にとって、無理なく始められるIoT化の手段です。まずは、いまお使いの設備がどの信号に対応しているかを確認するだけでも、IoT化の可能性は大きく広がります。
当社のIoTソリューションは、ハードウェアからクラウド、スマートフォンアプリまで一貫して自社で設計・開発しています。そのため、特定機器との連携やアプリのカスタマイズなど、標準パッケージでは対応しきれない細かなニーズにも柔軟にお応えできます。
例えば、まずは異常通知からスモールスタートし、効果を確認しながら段階的に機能や規模を拡張していくことも可能です。現場に無理のない形で、最初の一歩を一緒に考えてみませんか。
「IoT通信ユニット」カタログは、以下サイトよりダウンロードいただけます。
まずは「どんなデータがIoT化できるか知りたい」といった情報収集段階のご質問も大歓迎。ぜひフォームからお問い合わせください。